国別
フィリピン
人口約1億1千万人。急速に経済成長する一方で、1,700万人以上が国の貧困線を下回ります。 地域と職業による差が極端に大きく、「平均」を見ても実態が分からない国です。
関連する SDGs1貧困をなくそう
フィリピン
Republic of the Philippines
- 地域
- 東南アジア
- 首都
- マニラ
- 人口
- 約1億1,800万人2026年推計
地域と職業による差が極端に大きく、平均を見ても実態が分からない国。このサイトで最も深く掘っています。
数字
数字で見る
いずれも PSA(フィリピン統計庁)2023年 公式貧困統計。 公式統計は3年ごとの家計調査(FIES)が基準で、2025年調査の結果は2026年8月時点で未公表です。
全国の貧困率の推移(人口ベース)
PSA の公式貧困統計。2020年前後のコロナ禍で一度悪化し、2023年に改善しました。2025年 FIES の結果は未公表。
同じ国の中の差
全国平均を見ても、この国の貧困は分かりません。地域と職業で、桁が変わるほどの差があります。
地域による差(世帯ベース、2023年)
全国平均は10.9%。全17地域のうち出典を確認できた9地域のみを表示しています。
⚠ このデータセットは未完成です。取り込めた範囲のみ表示しています。
職業・属性による差(2021年)
漁民と農民は2015年・2018年・2021年と一貫して最下位。2023年には漁民27.4%、農民27.0%まで改善しました。
出典
お金以外の指標
収入だけを見ていると、貧困が世代をまたいで固定される仕組みが見えません。栄養と学習は、その仕組みの中心にあります。
5歳未満の発育阻害(stunting)
慢性的な低栄養の指標。所得階層による差が大きく、最も貧しい20%では37.2%にのぼります。
出典
- UNICEF Philippines「Raising the Bar」(取得: 2026年8月20日)
10歳で年齢相応の文章を読めない子どもの割合
「学習貧困(learning poverty)」。就学率ではなく、学校に通っていても読めていないことを示す指標。近隣国との差が大きいです。
出典
- World Bank / UNESCO 学習貧困(Learning Poverty)推計 2022(取得: 2026年8月20日)
課題
6つの切り口で見る
「フィリピンの貧困」と一口に言っても、誰の、どの貧困を見るかで、必要な支えは変わってきます。6つの切り口でまとめました。
- 01 地域づくり 都市の貧困 — 統計上は「最も豊かな地域」の中にある マニラ首都圏の貧困率は1.1%で、全国で最も低い数字です。それでも、数百万人規模のインフォーマルな居住地があります。率が低いことと、人数が多いことは両立します。 地域ごと取り残される
- 02 生計・仕事 食べ物を作る人が、いちばん貧しい 漁民と農民は、2015年・2018年・2021年と続けて最も貧困率が高いセクターでした。2023年もそれぞれ27.4%、27.0%で、全国平均の倍近くになっています。 働いても暮らしが成り立たない
- 03 教育 学校には行っている。でも読めない 10歳のフィリピンの子どもの91%が、年齢相応の文章を読んで理解できないと推計されています。インドネシア53%、タイ23%と比べても高い数字です。 学校に通えない・通っても学べない
- 04 保健・栄養 発育阻害 — 20年ほとんど改善していない 5歳未満の23.6%が発育阻害の状態にあります。全国では少しずつ下がっていますが、最も貧しい20%の層では37.2%と、差が大きく開いています。 栄養と医療が届かない
- 05 防災・災害復興 台風が、貧困を毎年つくり直す 貧困層ほど災害に弱い場所に住み、失うと元に戻しにくい状況にあります。気候変動は台風の数より強さと雨量を変え、その「引き戻される構造」を強めているかもしれません。 災害で積み上げたものが消える
- 06 生計・仕事 出稼ぎという「解決策」のコスト 海外で働くフィリピン人からの送金は、経済を支える柱のひとつです。一方で家族が離れて暮らすなどの代償もあり、その一部は日本国内でも起きています。 働いても暮らしが成り立たない
場所
名前だけが知られている土地の、いま
貧困の象徴として名前だけが知られている土地があります。多くは、何十年も前の像のまま語られています。 何年に何が起きて、いまそこに何があるのかを、日付と出典つきで書きました。
- 元ゴミ処分場 スモーキーマウンテン Smokey Mountain マニラ・トンド地区にあったゴミの山。1980年代に「都市の悲惨」の象徴として世界に報じられ、1995年に閉鎖されました。跡地には集合住宅が建ち、住民は移転しています。日本語では今も現在形で語られがちですが、ゴミ山としては30年前に終わっています。 いま(2026年9月時点): 処分場としては1995年に閉鎖済み。跡地の大部分は整地され、元住民向けの5階建て集合住宅が建てられました。廃品回収の現場はパヤタス、さらにその先へ移りました。
- 元ゴミ処分場 パヤタス Payatas ケソン市にあった、マニラ首都圏最大級の開放型ゴミ処分場。2000年7月の崩落で218人が亡くなり、廃棄物法制が変わるきっかけになりました。2017年に恒久閉鎖され、約3,000人の廃品回収者が生計を失いました。 いま(2026年9月時点): 処分場は2017年に恒久閉鎖。周辺の居住地区には今も人が暮らしており、生計を失った元回収者の多くは代わりの仕事を得られていないと報じられています。日本のNPOによる教育支援が続きます。
- 紛争後の地域 バンサモロ(ミンダナオ) Bangsamoro, Mindanao フィリピン南部ミンダナオ島西部。50年続いた紛争で約12万人が亡くなり、約200万人が家を追われました。2014年の和平合意と2019年の自治政府発足のあと、貧困率は2018年の52.6%から2023年の23.5%まで下がりました。戦争が終わると貧困がどう動くかを、実数で追える稀な場所。 いま(2026年9月時点): 2019年にバンサモロ自治地域(BARMM)が発足し、大規模な戦闘は終息しました。貧困率は5年で半分以下になり、2023年には全国で最も高い地域ではなくなりました。一方で、水準そのものは全国平均10.9%の倍以上で、紛争の影響は残っています。
支援団体
この国で活動している団体
フィリピンで活動する10団体を、法人格・寄付金控除・活動地域・分野・関わり方でまとめています。支援先を考えるときの参考にしてください。