誰と誰がスーダン国軍(SAF)と、準軍事組織の即応支援部隊(RSF)
この2つは元は味方でした。2019年にバシール政権が倒れたあと共に軍事評議会を握り、2021年のクーデターでも協力しています。
決裂の争点は、RSFを国軍にどう統合するかでした。指揮権を誰が持つか、どのくらいの期間をかけるか。それが合意できず、首都ハルツームで戦闘が始まりました。
どちらも、民政移管を求めた市民の側の勢力ではない、という点は押さえておきたいところです。
スーダン国軍(SAF)
国の正規軍。ブルハン将軍が率い、ポートスーダンに暫定政権を置いています。
いま押さえている範囲東部・北部と、首都ハルツームの多く。
この勢力の主張
- 自らが国家の正規軍であり、唯一の合法的な武力だとしています。
- RSFは解体されるべき反乱勢力だとしています。
- 国連とアラブ連盟はブルハン将軍をスーダンの国家元首として扱っています。アフリカ連合は扱っていません。
対
即応支援部隊(RSF)
ダルフール紛争の民兵(ジャンジャウィード)を起源とする準軍事組織。ヘメティ氏が率います。
いま押さえている範囲ダルフールの大部分と、コルドファン・青ナイルの一部。
この勢力の主張
- 2025年7月、SPLM-Nなどと「タシース」連合を組み、並行政府を樹立しました。その権限は全国に及ぶとしています。
- 国軍は旧バシール政権の残党とイスラム主義勢力に握られているとしています。
- 国連は、この並行政府を承認していません。
※この戦争は「軍 対 市民」という構図とは少し違います。どちらも2019年に共に権力を握った側です。市民が求めた民政移管は、この2者の対立に押しつぶされました。
この対比の出典:
International Crisis Group「Sudan’s RSF Proclaims Parallel Government, Raising Threat of Partition」、ICC「Forty-second report of the Prosecutor to the UN Security Council on Darfur」(2026年1月19日)
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国際刑事裁判所(ICC)2026年1月(検察官の第42回報告)
2023年4月15日以降のダルフールでの戦闘について、戦争犯罪と人道に対する罪の捜査を続けています。捜査の対象は国軍・RSFとその同盟勢力の双方です。
国連2025年7月
RSF側が樹立した並行政府を承認しないとの立場を示しました。
- 国内避難民
- 904万人 2026年4月時点
- 国外へ逃れた難民
- 280万人 2025年末時点
- 人道支援が必要な人
- 3,370万人 2026年時点 ※国連が把握する国別の数としては世界最多
スーダンのページを見る →
誰と誰がコンゴ政府軍と、M23をはじめとする多数の武装勢力。周辺国も関与しているとされる
東部のキブ地方とイトゥリ州に戦闘が集中しています。避難民の9割がこの3州にいます。
背景には、1994年のルワンダ虐殺後に流入した武装勢力、鉱物資源(スズ・タンタル・タングステン・金など)の支配権、住民の土地と市民権をめぐる争いが重なっています。単一の対立ではなく、100を超える武装集団が関わるとされます。
日本で報じられることは多くありませんが、避難民の数はスーダンに次ぐ規模です。
コンゴ政府軍(FARDC)
チセケディ大統領のもとにある国の正規軍。地域の部隊や民兵と共同で戦っています。
いま押さえている範囲首都キンシャサと国土の大半。ただし東部の要地を失っています。
この勢力の主張
- M23はルワンダの代理勢力であり、これは反乱ではなく他国による侵略だとしています。
- 2026年、カタールの仲介する「ドーハ枠組み」の交渉に参加しています。
- M23の支配地域からの撤退と、そこに置かれた行政機構の解体を求めています。
対
AFC/M23
2012年に一度制圧され2021年に再び武装した組織(M23)と、それが2023年末に加わった政治連合(AFC)。コルネイユ・ナンガー氏が率います。
いま押さえている範囲北キブ州・南キブ州の要地。支配地域に行政・司法・徴税の機構を置いています。
この勢力の主張
- ツチ系住民の保護と、国家の統治の失敗の是正を掲げています。
- ナンガー氏はチセケディ政権の打倒を公言し、首都への進軍にも言及しています。
- ルワンダ政府は関与を否定し、自国の行動はFDLR(1994年のルワンダ虐殺に関わった勢力の流れをくむ組織)への対応だとしています。
※100を超える武装集団が関わるとされ、2者にはおさまりません。上は主要な対立軸です。
この対比の出典:
International Crisis Group「The M23 Offensive: Elusive Peace in the Great Lakes」、国連 コンゴ民主共和国専門家グループ報告(S/2026/466)
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国連 専門家グループ(報告 S/2026/466)2026年
AFC/M23はルワンダ国防軍の継続的な支援を受けて北キブ・南キブで支配を拡大し、武装主体のなかで最も多くの人権・人道法違反に関与したと報告しました。
国連人権専門家(OHCHR)2026年7月
M23による拷問を「恐怖による支配」と表現し、直ちにやめるよう求めました。
- 国内避難民
- 580万人 2026年時点
- 人道支援が必要な人
- 1,490万人 2026年時点
- 深刻な飢餓に直面する人
- 2,660万人 2026年6月まで時点
誰と誰がアサド政権と、複数の反体制武装勢力・クルド系勢力・イスラム過激派組織。外国の軍も介入した
2011年の民主化要求デモへの弾圧から内戦になり、13年余り続きました。
2024年12月に政権が崩壊し、いまは帰還の局面に入っています。ただし戻れる家がない、水道や電気がない、仕事がないという状態が続いており、避難が終わったわけではありません。
いまの状況: 2024年12月以降、300万人以上が帰還しました(国内避難からの帰還190万人、国外からの帰還160万人)。それでもなお550万人が国内で避難したままです。
移行政権
2024年12月にアサド政権を倒した勢力を中心とする政権。旧HTS指導者のアフマド・シャラア氏が率います。
いま押さえている範囲国土の大半。2026年6月に移行議会が初めて開かれました。
この勢力の主張
- 恒久憲法の制定と国政選挙までの5年間、暫定的に国を運営するとしています。
- 各地の武装勢力を国軍に統合する方針を掲げています。
対
統合が進んでいない地域の勢力
北東部のクルド系勢力と、南部のドゥルーズ地域の勢力。
いま押さえている範囲北東部および南部スワイダー周辺。
この勢力の主張
- クルド系勢力は、自治の枠組みを残したままの統合を求めているとされます。2026年に統合の協議が進んでいます。
- ドゥルーズ地域は移行議会の議員選出に参加していません。
※2011年から13年余り続いた内戦は、2024年12月のアサド政権崩壊で形が変わりました。いま争点になっているのは、政権交代ではなく「誰がどう国に統合されるか」です。
この対比の出典:
英国議会図書館「Syria in 2026: Interim government and Kurdish integration」
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国連(UNHCR)2026年
帰還は進んでいるものの、住宅の損壊、サービスの不足、地域によっては不安定な情勢が続いており、帰還の持続性は保証されていないとしています。
- 国内避難民
- 550万人 2026年時点
- 2024年12月以降に帰還した人
- 300万人超 2026年5月時点
- 人道支援が必要な人
- 1,560万人 2026年時点
誰と誰がホーシー派(アンサール・アッラー)と、国際的に承認された政府。サウジアラビア主導の有志連合が政府側で介入した
2011年の政変後の権力移行がうまくいかず、ホーシー派が首都サヌアを制圧したことから戦争になりました。
港と輸入が止まったことが、戦闘そのものより多くの被害を生んだと指摘されています。イエメンは食料の大半を輸入に頼っているためです。
人口比で見ると、人道支援を必要とする人の割合が世界でも最も高い水準にあります。
ホーシー派(アンサール・アッラー)
北部のザイド派を基盤とする武装・政治組織。2014年に首都を制圧しました。
いま押さえている範囲首都サヌアと、人口の多い北西部。
この勢力の主張
- 自らの行動を、外国の干渉に対する抵抗だとしています。
- 紅海でのイスラエル関連船舶への攻撃を、ガザとの連帯として説明しています。
対
国際的に承認された政府(大統領指導評議会)
2022年に発足した合議制の政府。サウジアラビア主導の連合が支援しています。
いま押さえている範囲南部・東部。アデンを暫定首都としています。
この勢力の主張
- 自らが正統な政府であり、ホーシー派の首都制圧はクーデターだとしています。
- 国連が仲介する和平交渉の当事者となっています。
※南部の分離を求める南部暫定評議会(STC)など、2者に収まらない勢力があります。2026年9月に大規模な戦闘が再発しました。
この対比の出典:
英国議会図書館「Yemen in 2026: Southern Transitional Council’s fall and intensifying Houthi conflict」
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国連 イエメン担当特使2026年4月(安保理への報告)
2022年以降の緊張緩和の取り決めは維持されているとしつつ、部隊の移動や銃撃による市民の犠牲など「懸念すべき兆候」があると報告しました。
- 国内避難民
- 520万人 2026年時点
- 人道支援が必要な人
- 2,230万人 2026年時点
- 深刻な食料不安にある人
- 1,830万人 2026年時点
誰と誰がロシアとウクライナ
2014年にクリミアが併合され、東部で戦闘が始まりました。2022年2月24日にロシアが全面侵攻し、戦争が国全体に広がりました。
人口の約3分の1が、国内または国外へ避難したことになります。
ロシア
2022年2月24日に全面侵攻を開始しました。2014年にクリミアを併合しています。
いま押さえている範囲ウクライナ東部・南部の一部。4州の併合を宣言していますが、国際的には承認されていません。
この勢力の主張
- 2022年2月の行動を「特別軍事作戦」と呼び、国連憲章51条にもとづく自衛だとしています。
- NATOの東方拡大、ドンバスのロシア語話者の保護、ウクライナの「非軍事化」と「非ナチ化」を理由に挙げています。
- ICC(国際刑事裁判所)の管轄を認めておらず、戦争犯罪の指摘を否定しています。
対
ウクライナ
侵攻を受けた側。2022年2月から全土で防衛にあたっています。
いま押さえている範囲国土の大部分。占領地の奪還を目標に掲げています。
この勢力の主張
- 国際的に承認された国境の回復を求め、領土の割譲は認められないとしています。
- ロシアの行動は侵略であり、戦争犯罪の責任追及が必要だとしています。
- NATO加盟の方針を憲法に掲げており、中立化の要求は受け入れられないとしています。
この対比の出典:
Mamedov「A fragile narrative: Transformations and consistency in the Russian representation of the war in Ukraine」(査読論文, 2025年)、国連総会決議 ES-11/1「Aggression against Ukraine」(2022年3月2日、賛成141か国)
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国連総会2022年3月2日
決議 ES-11/1 で侵攻を非難し、即時かつ無条件の撤退を求めました。賛成141、反対5、棄権35で採択されています。
国際刑事裁判所(ICC)2023年3月17日
子どもの違法な移送を理由に、プーチン大統領とリボワベロワ氏への逮捕状を発付しました。検察は、和平交渉で恩赦が合意されても逮捕状は有効だとしています。
- 国内避難民
- 370万人 2026年2月時点
- 国外へ逃れた難民
- 590万人 2026年2月時点
- 人道支援が必要な人
- 1,080万人 2026年時点
誰と誰が国軍と、民主派の武装組織(PDF など)および多数の少数民族武装組織
2021年2月1日、国軍が選挙結果を認めずに政権を倒しました。非暴力の抗議への弾圧が続いたあと、各地で武装抵抗が起きています。
少数民族武装組織との紛争は独立以来続いており、クーデターはそこに新しい戦線を重ねた形です。
ロヒンギャの人びとは、2017年の掃討作戦で約70万人がバングラデシュへ逃れ、いまも多くが帰れないままです。
国軍と、その下で成立した政権
2021年2月1日に選挙結果を認めずに政権を倒した国軍。2026年4月、ミンアウンフライン氏が大統領に選出されました。
いま押さえている範囲主要都市と幹線。地方の広い範囲で支配が及んでいません。
この勢力の主張
- 2020年の選挙には不正があったとして、クーデターを正当化しています。
- 2025年末から2026年初めに実施した選挙を、安定化への一歩だとしています。
- 国民統一政府(NUG)をテロ組織に指定しています。
対
国民統一政府(NUG)と抵抗勢力
2020年の選挙で選ばれた議員らが設立した政府と、その下の国民防衛隊(PDF)、および各地の少数民族武装組織。
いま押さえている範囲地方の広い範囲。地域ごとに実効支配の主体が異なります。
この勢力の主張
- 2020年の選挙結果が正統だとしています。
- 国軍側が実施した選挙は、軍による支配を正当化するためのものだとしています。
- 国軍とその関連組織をテロ組織に指定しています。
※少数民族武装組織は独立以来それぞれの経緯をもち、NUGと一体ではありません。国軍と戦う勢力が一つにまとまっているわけではないという点は、報道でしばしば省かれます。
この対比の出典:
International Crisis Group「Myanmar’s New Administration: Military Consolidation, Not Transition」
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国際司法裁判所(ICJ)係属中
ガンビアが申し立てた、ロヒンギャに対するジェノサイド条約違反の事件を審理しています。
国際的な評価2026年
2025年末からの選挙は、内戦が続くなかで行われ、信頼性を欠き軍の支配を続けるためのものだと広く批判されました。
- 国内避難民
- 361万人 2025年11月時点
- 人道支援が必要な人
- 1,990万人 2026年時点 ※人口のおよそ3分の1にあたる
- UNHCRが支援する避難民・無国籍者
- 420万人超 2026年時点
誰と誰がイスラエル軍と、ハマスをはじめとするパレスチナの武装勢力
2023年10月7日のハマス主導の攻撃と、それに続くイスラエルの軍事作戦で、ガザの人口のほとんどが住む場所を失いました。多くの人が何度も移動させられています。
国連はガザと西岸を「占領下パレスチナ自治区(occupied Palestinian territory)」と呼んでいます。これは国連の公式な用語です。
西岸でも、家屋の取り壊し、イスラエル軍の作戦、入植者による暴力、移動の制限によって避難が続いています。
いまの状況: 2025年10月10日に停戦が発効しました。支援物資の搬入量は改善しましたが、人口の大半は避難したままで、家はほとんど残っていません。
イスラエル
1967年からガザと西岸を占領下に置いてきた(国連の立場)。2023年10月から大規模な軍事作戦を行いました。
いま押さえている範囲ガザへの出入りと物資の搬入を管理しています。西岸の大部分で行政・治安を管轄しています。
この勢力の主張
- 2023年10月7日の攻撃を受けた自衛だとしています。
- ハマスの軍事能力の解体と、人質の解放を作戦の目標に挙げてきました。
- ICJとICCの申し立てを否定し、ICCの管轄を争っています。
対
ハマスなどパレスチナの武装勢力
1987年に設立された組織。2007年からガザを統治してきました。ほかにイスラム聖戦などの武装勢力があります。
いま押さえている範囲ガザの統治機構。2023年以降、大きく損なわれています。
この勢力の主張
- 自らの行動を、占領と封鎖に対する抵抗だとしています。
- 2023年10月7日の攻撃を、占領の継続とガザ封鎖に対するものだと説明しています。
※西岸を統治するパレスチナ自治政府(ファタハが主導)はハマスとは別の主体で、2007年以降ガザの統治には関わっていません。
この対比の出典:
ICJ「Application of the Genocide Convention (South Africa v. Israel)」事件ページ、ICC「Situation in the State of Palestine」(ネタニヤフ首相らへの逮捕状を含む)
国際機関の判断
上は当事者の主張です。ここからは、当事者ではない国際機関が出した判断をまとめています。
国際司法裁判所(ICJ)2024年1〜5月(事件は係属中)
南アフリカが申し立てたジェノサイド条約の事件で、ジェノサイドの防止、軍事行動の停止、人道支援の搬入を命じる暫定措置を3度出しました。
国際刑事裁判所(ICC)2024年11月/2026年7月
ネタニヤフ首相と当時のガラント国防相に対し、人道に対する罪と、戦争犯罪としての飢餓を理由に逮捕状を発付しました。2026年7月、イスラエルによる取り消し請求を退けています。ハマスのムハンマド・デイフ氏に対する手続きは、死亡の確認により2025年2月に終了しました。
- 避難所で暮らす人
- 170万人 2026年時点 ※約1,600か所の避難所にいる人の数。他国の「国内避難民」とは数え方が違うため、単純には比べられません。ガザの人口は約210万人
- 人道支援が必要な人
- 362万人 2026年時点 ※ガザ地区と西岸を合わせた数
- 生活が変わるほどの重傷を負った人
- 4.3万人超 2026年時点 ※WHO の推計