都市の貧困 — 統計上は「最も豊かな地域」の中にある
マニラ首都圏の貧困率は1.1%で全国最低。それでも数百万人規模のインフォーマル居住地が存在する。率の低さと人数の多さは矛盾しない。
最終更新 2026年8月20日
率で見ると見落とす
2023年、マニラ首都圏(NCR)の世帯ベース貧困率は 1.1% で、全17地域の中で最も低い。数字だけ見れば「マニラに貧困問題はない」と読めてしまう。
しかしNCRの人口は1,300万人を超える。率が低くても、絶対数は小さくない。さらに国の貧困線は生存に必要な最低限を測る線であって、都市で家賃を払いながら暮らせる水準ではない。貧困線をわずかに上回る層が、統計からは消える。
何が起きているか
- 住まいの不安定さ — 土地の権利を持たないインフォーマル居住。立ち退きのリスクが常にある。
- 仕事の不安定さ — 日雇い、行商、廃品回収。契約も社会保険もない。
- 災害の直撃 — 低地や水路沿いに住まざるを得ず、台風のたびに浸水する。
- 身分証明の欠如 — 出生登録がないと就学・就労・銀行口座のすべてが閉ざされる。
支援の設計で分かれる点
都市貧困への支援は「その場に留まる前提で生活を改善する」のか「別の場所に移す」のかで方向がまったく違う。移転(リロケーション)は住環境が改善しても、仕事から切り離されて生計が悪化することがある。団体を選ぶときは、ここの立場を確認するとよい。
注意していること
パヤタスやトンドは、日本のメディアで象徴的に取り上げられてきた場所でもある。訪問と発信をするなら、そこに暮らす人が読んで嫌な思いをしない書き方を先に決めておくべきだと考えている。
出典